ふうりん
ちりりん、と鳴ったほうへ耳を傾けた
ちりりん、ちりりんと澄みきった音色が辺りを震わしている
ちりりん、ちりりん、ちりりんりん
ちりりん、ちりりん、ちりりんりん
はてさて凛と響く鈴の音ほど涼やかなものはなけれども、こりゃあ何処から聴こえてくるものかいな
ゆっくりと起きあがり音の鳴るほうへ足を踏みだした
ちりりん、こりゃええ、羽が生えたかのようじゃ
ちりりん、こりゃええ、なんとも清々しい気分じゃ
ちりりん、ちりりん、ちりりんりん
ちりりん、ちりりん、ちりり…
おーい おーい
こりゃ魂消た、おととし死んだ爺ちゃまが手をふってなさる
おーい おーい
爺ちゃまが迎えに来てくだすった
おらぁが寂しくないように
おらぁが道を間違えぬよう、りんりんと鈴を鳴らして
おーい おーい
爺ちゃまのもとに駆けだして、ふと思う
来いというのか、来るなというのか
…そもそもあれは本物の爺ちゃまなのかいな…
ぴたりと立ちどまり、爺ちゃまの姿をした何者かを凝視した
そもそも眼が悪いおらぁに爺ちゃまの顔がはっきり見えるのはおかしい
ひょっとして爺ちゃまのふりした悪いもんが、おらぁをだまくらかそうとしとりゃせんかいな
ぷう〜…プスッ
聴き慣れた音とともに、嗅ぎ慣れた臭いが真っ直ぐおらぁに届いた
爺ちゃまが持つ風鈴をよくよく見れば、短冊が揺れ動く向きでこちらが風下だと知れる
ちりりん、ちりりん、ちりりんりん
気持ちのいい風が吹き抜けていく
「爺ちゃま。あの世の芋も美味いんね?」
爺ちゃまが大好物の芋をたらふく食ってなさるようでおらぁは安心したよ、と笑って伝えると爺ちゃまは恥ずかしそうに含羞んだ
手を繋いで行けば怖くないよね
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